一昔前、家を持つのはサラリーマンの一生の夢といわれていました。家を構えてやっと一人前という共通認識があったのです。最近では少しずつ持ち家にこだわらないという人々が増えてきていますが、それでも持ち家への強い憧れは根強く残っています。
借地居住者の不満として挙げられるのが遮音性、断熱性、間取りの狭さなどです。国土交通省が5年ごとに行っている住宅土地統計調査でも、1戸あたりの述べ床面積は持ち家に比べ借家では半分以下となっています。もちろん、調査対象にはワンルームマンションなど単身者向けの物件も含まれているため正確な比較データと言うことはできませんが、一般的に借家が狭いというのは事実です。
一棟の建物を分割し複数の世帯で居住する住宅を共同住宅や集合住宅といいます。マンションやアパートもこの集合住宅となります。マンションの定義は使用される法律や場面によってことなりますが、一般的にある程度の規模を持った集合住宅をあらわしています。初期の集合住宅は木造でしたが、関東大震災後の大正末期〜昭和初期から鉄筋コンクリート造の賃貸アパートなどが建築されるようになりました。
第二次世界大戦後の昭和28年には東京都建築局によって公的な分譲集合住宅の第一号が誕生しました。地上11階建ての店舗併用住宅です。昭和31年には新宿に日本開発鰍ェ個人向け分譲集合住宅四谷コーポラスを建築しまいした。5階建てのマンションでとても注目を集めました。
高度経済成長期の始まりとも言えるこの時代は、経済成長率に呼応するように都市部への人口集中が起こっていました、そのため地価が上昇し、限られた土地を有効利用するための手段が建築物に対して求められたのです。
この頃より建物の高層化が始まり、マンションという言葉が広く使われるようになってきました。そして昭和40年代には集合住宅ブームが到来しました。
その目新しさ、近代的なイメージが庶民に歓迎され、家を買うならマンションをという人が増加しました。マンションに住むことがステータスとなり、憧れの象徴となったのです。
しかし、建物は時間の経過と共に劣化し経済的な価値はどんどん失われていきます。土地の場合、経済情勢による多少の変動はあるものの価値が全くのゼロになることはありません。しかしマンションは財産的価値の中心が建物となり、土地に対する権利がほとんどないのです。
昭和30年代に建設された集合住宅で現在使用できるものはほとんどありません。70年代〜80年代前半に建設されたマンションは使用された材質からそれほど長持ちしないのです。RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションでも30〜40年もすれば大規模な修繕か建て替えが必要となります。戸建の場合にも建物の耐久年数の問題はありますが、戸建の場合経年による建物の劣化が起こったとしても土地が残るのです。
マンションの場合、大規模な修繕や建て替えを行う場合、自分の意思によって行うことはできません。区分所有者の集会決議が必要となり、多数決で決められてしまえば反対することは難しくなります。
現在ではこれらの事情が広く認知されるようになったことで、戸建の価値が再認識されているようです。